「兵庫でつくるポストコロナのガイドビジネス」イベントレポート

 

ヒトタビHYOGOでは、訪日観光(インバウンド)市場のこれからを考えるウェビナーを2020年9月27日に開催しました。当日は、ひょうご観光本部(DMO)ツーリズムプロデューサーの江藤誠晃氏、株式会社ノットワールド関西責任者の川村達哉氏を迎え、ポストコロナ時代のインバウンド観光や地方創生のあり方、そこで活躍する人材について「起業プラザひょうご姫路」よりオンライン配信しました。

 

江藤 誠晃

ひょうご観光本部 ツーリズムプロデューサー

 

川村 達哉

㈱ノットワールド 関西責任者

 



ヒトタビHYOGOの目指すもの/江藤誠晃

 

本日のテーマ「兵庫でつくるポストコロナの観光ビジネス」ですが、観光ビジネスを今後どうして行くかについてみなさんと考える機会を作りたくこの機会を企画しました。コロナ禍を受け、今後観光業界がどう変わっていくべきか、観光業に携わっている方や観光業を目指す方々がどうすべきかを考えないといけません。

 

ヒトタビHYOGOのスローガン「人がつなぐ、旅をつくる」には、世界各国や国内から兵庫を訪れる観光客と地元の人や、様々な事業者や多様な方々がつながって旅を作るんだという想いを込めています。従来は観光のスキルアップや情報共有の場でしたが、コロナ禍を受けて、単なる教育プログラムではなくしっかりと仕組みづくりを行い、ともに国の観光を変えて兵庫、関西のエリアを盛り上げていくためのプロジェクトです。

本日は主にみなさんが気になっている3点「訪日観光はいつ戻るのか」「ガイド業に携わるものは、今何をすれば良いか?」「兵庫県は何をしてくれるのか」についてお話していきます。

 

 

訪日観光はいつ戻るのか?
訪日観光客と経済の数値より読み取る

 

「訪日観光はいつ戻るのか」に対しては、国や都道府県、DOMがしっかりマーケティングして方向性を見据えなえればなりません。ひょうご観光本部が本事業を主催していますが、県の観光地経営を担うDMOという観光地作り法人は、地域をマネージメント管理しマーケティングを行う組織です。本日は、データに基づきみなさんと今後の意識共有を図りたいと思います。

 

まずは、観光庁の観光白書より訪日外国人旅行者の推移データをご覧ください。

 

訪日外国人旅行者の推移(出典:観光庁 令話2年版観光白書について)

 

 

ぜひ観光に携わる方にはこういったデータを注視いただきたいのですが、グラフによると2019年の訪日観光客は3,188万人。前年比2.2%増です。遡ると2003年は500万人ほどで、その後5年間で800万人増えています。リーマンショックによる世界の観光マーケット減少や東日本大震災の影響により減少した年があるものの、いずれも翌年にはV字復活しており、いかに世界のトラベラーが日本に対して熱い思いを持っていたかがわかります。そして、国の訪日観光客目標2,000万人に対して、一昨年の段階で3000万人まで達成したことで、想定以上に日本経済の中でも訪日観光が大きな意味を持ちました。

 

当初、2020年はオリンピック・パラリンピック開催により訪日客4,000万人、さらに2030年には6,000万人という国の目標がありましたが、コロナ禍が前提を奪いました。その上で未来をどう見据えるかが大きなポイントです。未来のデータはどこにも出ていませんが、私たちDMOのミッションの一つは未来のデーターを作ることです。

 

次に、日本の経済予測を見てみましょう。経済界金融界のシンクタンクである日本経済研究センターによる中期経済予測 速報のデータをご覧ください。

 

 

経済全体の下振れ幅 実質GDP(出典:公益社団法人 日本経済研究センター 第47回中期経済予測 速報 2020-2035年度)

 

 

7月に発表された中期経済予測の速報によると、日本国内の実質GDPは2019年から一気に下がり、そこから増えていくシナリオです。3月に発表された前回シナリオの2035年553.5兆円という予測に対し、標準シナリオはさらに現実的な数字に。さらに、新型コロナウイルスの二次感染やオリパラ非開催、ワクチンもないといった場合、世界経済は悪化し国内GDPは2028年頃520兆円まで回復しても、その後永遠に戻らず2018年が最高のGDPという悪夢のシナリオ予測が出ています。さらに詳しくみると、下振れのリスクの要因として3点「官民債務増加、訪日客減少、海外悪化」が挙げられています。

 

 

標準シナリオから悪夢への下振れ要因(出典:公益社団法人 日本経済研究センター 第47回中期経済予測 速報 2020-2035年度)

 

 

最もリスクのある海外悪化とは、米中関係悪化などの世界情勢で、新型コロナウイルスも含めた保護主義、自国中心主義による人の交流が減ることでも、外需が増えない可能性があります。これからの10年は、ワクチンでコロナを克服できても、人と人との仲が悪ければ、悪夢のシナリオに近づきますから、国境を超えて人と人が仲良くするためにはやっぱり観光だよね。という考えに繋がるべきだと思う。日本にきてもらい、やっぱり日本はいいなと思ってもらう交流を作る。それが観光産業の大きなミッションであるとご認識いただきたいです。

 

 

コロナ禍の影響を受け
これからどう取り戻していくのか

 

さて、先ほどの図をもう一回見ていただきましょう。

国の目標であった訪日観光客2020年4000万人、2030年6,000万人に対して、GDPが2021年末まで下がるというデータです。実際今年の訪日観光客予測は、ほぼ400万人、来年の予想は330万人とされています。来年オリパラの開催時にクラスターを発生しないようにするためには、一般観光客を大きく解放することは難しいのではないでしょうか。そうなると、残念ながら来年年明けの海外旅行や、インバウンドのガイド仕事が戻るかは、データをみる限り現実的ではないと考えられます。

 

日本経済研究センターの予測では、訪日観光客が3,000万人戻るのは、8年後の2028年。ワクチンや世界が良好関係になればさらに早まり、悪化すれば2028年に1,100万人しか戻らないという試算。約8年前に戻るということですが、あの頃もインバウンドと言っていましたよね。そういう意味では、腹を括り、観光地経営を仕切り直すと。重要なのは、2029年以降、人口減少で内需が減り外需を増やさないといけない時に、日本が観光立国になれるかどうか。あと10年で6,000万人に増やすには何ができるかを考えないといけません。

 

政府の目標は、オリパラ で4,000万人の観光客が一人20万円消費し8兆円、さらに10年後は6,000万人が一人25万円消費し15兆円のマーケットができると想定していました。それがコロナ禍によりゼロになった今、取り戻さないといけません。昨年は3,188万人の観光客で4.8兆円規模になり、一人あたりの消費は15万円でした。今後は、売上げよりも利益を重視し、いかに日本で付加価値のある観光をしていただき消費していただけるかが、根本的なマーケットの課題解決になるのではないでしょうか。

 

 

「訪日外国人旅行者の推移」をもとに江藤誠晃が作成

 

 

ヒトタビHYOGOのミッション

 

ヒトタビHYOGOが目指すのは、「量のマーケティングから、質のマーケティングへの転換」です。お客様が半分になっても、倍のコストを払っていただける価値があれば、経済的には同じです。これからは高付加価値にして、量から質、モノからコト、コトからヒトへと。人がしっかり介在することで、必ず観光客は対価をお支払いしてくれると考えています。

 

また、観光ガイドは単に地域を案内するのではなく、日本のカルチャーや文化をしっかり伝えると同時に、異国の方々との友好関係を含め「あの人と出会うために日本にまた行きたいな」「今回日本に行ってあの人と出会ったから楽しかった」。そういった役割を担うべき人材がガイドだと思うんです。

 

初めの質問「ガイド業に携わるものは、今何をすれば良いか?」「兵庫県は何をしてくれるのか」の答えとして、このヒトタビHYOGOが作られたとぜひ考えていただきたい。

ヒトタビHYOGOの狙いは、「人」が目的になる旅の可能性を探る実験です。従来型の単に地域を案内するガイド業ではなく、どうしたら付加価値を作れるか、どのようなテクノロジーを使ったらお客さんにリーチできるか、などをみなさんと考えていきます。観光業のノウハウやおもてなし学は各自で学べますから、観光従事者の皆さまは、DMOの伴走者として共に、兵庫を舞台に日本の観光を変える挑戦を始めましょう。一致団結して高付加価値型の観光を真剣に考えてみましょう。

次に、ノットワールドの川村さんにバトンタッチします。

 

 

 

これまでのノウハウや想いを全力で伝えたい/川村達哉

 

関西支部責任者の川村達也です。ノットワールドは、Knot=結び目からきていて、「世界と日本を結ぶ存在になりたい」という想いを込めています。インバウンド向けの観光事業として2014年創業し、2016年に関西支部を立ち上げました。そして、ジャパンワンダートラベルというインバウンド向けツアーを行っています。

まずは、これまでやってきた活動の思いが詰まった動画をご覧ください。

 

Let's enjoy Japan with Tokyo Food Tours
by Japan Wonder Travel.com

 

 

この動画は、東京の築地市場と砂町銀座という錦糸町のローカル商店街で開催しているフードツアーの様子です。私たちは、こういった食べ歩きツアーを京都、大阪、金沢で開催しています。プライベートツアーなども含めて、コロナ前は1.3万人のお客様にご参加いただいていました。私たちのモットーは、「ゲスト満足度」が最優先。ゲストが喜ぶポイントや笑っていただける小ネタなど、ノウハウを蓄積してオリジナルツアーを企画してきました。よいツアーというのは、中身よりも大事なのが、ガイドの想いなんです。もちろん能力や人柄もありますが、ガイドの力が圧倒的に大きいです。

 

「よいガイドとはどういう人か?」「ゲストが満足してくれるガイドとは?」などを真剣に考え、私たちの理想像が見えてきました。そういったノウハウや想いを伝えるために、今年2月にジャパンワールドを立ち上げて活動しています。私も生まれが兵庫で、兵庫のガイド育成事業に関われて嬉しいです。皆様にノウハウや想いを全力で伝えたいと思っていますので、ぜひ参加していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

 

ヒトタビHYOGOは、単なるガイド育成プログラムではなく、観光の新しいスキームの構築を目指し、3つのエリア(丹波篠山市、宝塚市、たつの市)を舞台にプログラムを実施していきます。ぜひこの機会に、ともに新しい観光のあり方を考えて行きませんか?

参加お申し込みのほどお待ちしています。