=フィールドワーク・レポート=

丹波篠山編


雨模様の初日、JR篠山駅に集合した受講生は、大型バスで丹波篠山の中心地、篠山後駐車場へ。5つのグループに分かれた受講生は、国籍や年齢、住まいも多様で、オンライン研修の経緯もあり皆和気あいあいとした雰囲気。オリエンテーションとチームビルディングの後、2班に分かれて丹波篠山の主要な観光地を訪れました。(なお、ヒトタビHYOGOでは、フィールドワーク実施にあたり、新型コロナウイルス予防として、事前の検温報告、当日の検温、体調不良の確認、マスク着用といった徹底したコロナ対策のもと実施しています)。

 

丹波篠山は、篠山城を中心に主要な観光スポットがコンパクトに集約されています。この日はあいにくの雨模様ながら、傘をさした観光客が所々で見受けられました。Go toトラベルの効果もあり、9月連休を境目に観光客が少しずつ戻り、この時期は紅葉も始まりこの週末は満室の宿が多いのだそう。お土産店などの前には、旬の丹波栗や丹波黒枝豆、丹波黒豆などが並びんでいました。

 

 

一班がまず訪れたのは、「丹波篠山デカンショ館」。江戸時代の民謡を起源として、丹波篠山の盆踊りなどで踊られているデカンショ節は、文化庁が認定する地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーである「日本遺産」として、第一号認定されています。会場では、浴衣を着た案内人にデカンショ節が生まれたきっかけや歌詞の背景、当時の丹波の人々の生活や地域性などを教わりました。「歌詞は地域などによって変わり、300〜500もの歌詞があると言われています」と、地元に根付き親しまれている民謡かを知りました。その後、実際の踊り方もレクチャーしてもらい、一同デカンショ節を体験。併設されている「青山歴史館」では、篠山藩主青山家ゆかりの品々や江戸時代に教科書を印刷するための板木などを見学しました。

 

 

次の「篠山城大書院」では、学芸員の方に案内いただき、徳川家康によって築城され、火災により消失後、復興した篠山城大書院の歴史や当時のエピソード、再現された各室の当時の使われ方など、詳しく教わりました。市民の方が作成された歴史人物の甲冑や各城の模型が展示され、大書院の一部は公的行事でも利用されています。最近は、結婚式も執り行われているそうで、地域に開かれている一面も知りました。

 

昼食後、午後は「歴史美術館」を訪れ、丹波篠山に伝わる武具、漆芸、絵画などを始め、常設展示されている作品を中心に見学。訪問客に特に注目される作品なども教わりました。最後に訪問した「安間家史料館」は、天保元年以降に建てられた武家屋敷で、現在は史料館として一般に公開されています。当時の暮らしの道具が保存されているのも特徴の一つで、食器類や家具、アイロンとして使われていた道具など、当日の生活を伺い知ることができました。また、庭園には丹波水琴窟があり、受講生は順番に耳をあてた竹筒を通して、音色を楽しみました。

 

 

これらの主要な観光スポットを巡った後、一行は宿泊先の「大谷にしき荘」へ移動しワークショップを実施。今日訪れた観光地振り返りながら、外国人に魅力的に伝えるには、どういった視点が大事なのか、どのようなルートや伝え方が良いかなど、プランづくりにあたってのポイントをノットワールド 川村氏とひょうご観光本部ツーリズムプロデューサー 江藤氏からレクチャーを受けました。各チームで議論し合い、翌日はそれぞれのチームが企画した訪問先を訪れながら、ツアープランニングづくりを行いました。

 

宝塚編


ヒトタビHYOGOでは、地域の魅力を発掘するためのフィールドワークを11月に実施しています。前回の丹波篠山編に引き続き、11月14〜15日の2日間、宝塚市を受講生24名が訪れ、地域で様々な活動を展開している方からお話を伺い、街を巡りながらインバウンドツアーの造成を行いました。

 

秋晴れとなったヒトタビHYOGOのフィールドワーク第2弾「宝塚編」。集合場所は今年6月にオープンしたばかり宝塚ホテルです。1日目は、宝塚の代名詞ともいえる「宝塚歌劇」を中心に街を巡りながら、この街の魅力に触れ、インバウンド向けにどういったプランがあり得るのかリサーチしていきました。

 

 

宝塚ホテルは、創業から94年経った2020年6月に現在の場所に移転しリニューアルオープンしました。宝塚大劇場オフィシャルホテルとして大劇場のすぐ隣に立地し、「夢のつづき」をコンセプトに大劇場をご覧になったお客様が余韻を楽しみにながらホテルに滞在することができます。宝塚ホテル2階に設置されている宝塚歌劇ギャラリーの見学から今回のフィールドワークがスタートしました。

 

さて、ここからはタカラジェンヌOGである66期生星組の英(はなぶさ)マキさんにご案内いただき、宝塚歌劇の常識から裏側までお話を伺いながら、街を巡っていきました。

 

 

宝塚歌劇と街の歴史

 

リニューアルされた宝塚ホテルの玄関前でお伺いしたのは、宝塚の歴史。阪急電車を創業された小林一三さんが、梅田(大阪)と三宮(神戸)の間にある小さな温泉場だった宝塚に目をつけ、「宝塚新温泉」や日本初となる屋内プールなどをオープンし、街に活況を生み出したそうです。その屋内プールの閉鎖後に、プールをステージに変更し、温泉客へのパフォーマンスのために生まれたのが、宝塚歌劇団の前身となる「宝塚唱歌隊」。プールをステージに変えるというアイデアは、今でもすごく斬新に感じます。ご存知の方も多いかもしれませんが、小林一三さんは現代では当たり前となった鉄道会社による沿線宅地開発や鉄道駅のデパート併設といったビジネスモデルを次々に立ち上げた偉人。この地域の歴史を感じるエピソードをたくさん教えていただきました。

 

 

階段が歴史を語る宝塚音楽学校旧校舎

 

次にお伺いしたのは「宝塚文化創造館(宝塚音楽学校旧校舎)」。そこへ向かう道中、宝塚を代表する偉人である手塚治虫さんの貴重な資料が収集されている「宝塚市立手塚治虫記念館」や2020年6月に新たにオープンした「宝塚市立芸術文化センター」がありました。今回は中に入る時間はありませんでしたが、このエリアでは日本を代表する文化を体験できることがよくわかります。海外から訪れた方には手塚治虫記念館で日本の漫画文化に触れ、芸術文化センターでは現代アートなども紹介することができそうです。

 

そして、タカラジェンヌを目指す方が通ってきた宝塚音楽学校の旧校舎を活用している宝塚文化創造館へ到着。現在、2階はすみれミュージアムとして宝塚音楽学校での日常生活や旧宝塚大劇場初演以来の歴代ポスター展示などがされており、他のスペースは貸室として、地域の方々が日々使う拠点となっています。

ここでOGの英さんから印象的なエピソードが聞けました。玄関を入り左右にある階段、入って左手にある階段は「下手階段」、右手にある階段は「上手階段」と呼び、音楽学校の学生は下手階段しか使用してはいけないというルールがあって、英さんは今でも下手階段しか使っていないそうです。また、音楽学校の予科生(1年生)は下手階段の端を駆け足で行き来する決まりで、その痕跡が今もくっきりと残っていました。厳しい教育があるからこそ、宝塚歌劇の質の高いパフォーマンスが生まれているんですね。

 

 

あの炭酸水の起源は宝塚温泉にあり

 

宝塚歌劇の魅力を存分に伺いながら、受講生はホテル若水へ移動。ガイドしてくださった英さんとお別れし、ホテル若水の方々にお話を伺いました。このホテルに来た理由は魅力的なバラ風呂があることや、すみれハイボールなど魅力的なドリンクがあるからではありません。なんと、皆さんがよく知っている飲み物は実は宝塚発祥なのです。それは「ウィルキンソン タンサン」。炭酸水を代表するこの商品はこの橋のすぐのほとりで海外向けに作り始められたようです。ホテル若水のすぐ隣には黄金家さんという炭酸煎餅屋さんもあります。ぜひ、宝塚を訪れたら味わってみてください。よく見る炭酸水の発祥の地だとわかると少し街が身近に感じ始めるのも不思議ですね。

 

これらの宝塚の中心地を巡った後、各グループに分かれて、リサーチを重ねていきました。今日訪れた観光地、そしてお伺いしたお話をもとに、外国人にとってどのようなプランであれば、街の魅力を伝えることができ、訪れる人にも喜んでもらえるのか、受講生の方々のプランが楽しみです。プランニングについては、ノットワールドの川村さん、ひょうご観光本部ツーリズムプロデューサーの江藤さんからもアドバイスを受けながら、チーム内でプランを作り上げ、1月の発表に向けて進んでいます。

次週は、フィールドワークシリーズ最終となる龍野へ。どんな地域や人々との出会いがあるか楽しみです。

 

たつの編


ヒトタビHYOGOでは、地域の魅力を発掘するためのフィールドワークを11月に実施しています。11月21〜22日の2日間は、たつの市に受講生23名が訪れ、実際に現地を街歩きしながらインバウンドツアーの造成を行いました。

 

ヒトタビHYOGOの最後のフィールドワーク地、たつの市。参加者一行は、竜野駅で集合後、バスに乗って播磨の小京都と言われる龍野エリアへ。

オリエンテーションでは、この2日間の目的について、ノットワールド川村さんと観光プロデューサー江藤さんから「みなさんの足で歩いて、魅力的なコンテンツを掘り起こしてください。ドキュメンタリーを作るつもりで、ヒントを拾い集めてほしい。ガイドというより、トラベラーの気持ちで、素材を集めてください」と伝えられました。

 

 

ゆったりと、懐かしさ感じる城下町、龍野。

 

午前中は5つのグループに分かれて町歩き。江戸時代の町屋や武家屋敷、白壁の古民家が残るコンパクトな街を、マップを頼りに散策していきます。

一つのグループがまず訪れたのは、「鈴村弘盛堂」。判子屋の店頭に並べられている、竹で作られた珍しい判子に受講生達は興味津々。
「これは地元の竹を使っているんですか?どのサイズが良いですか?」と受講生の質問に答えてくださったのは、この店5代目の鈴村さん。「地元の竹を使って手彫りしています。サイズによって完成する時間や費用が変わってきますよ」。会話を交わしていると、奥から顔を出してくださったのは、鈴村さんの祖父、3代目。「竹は柔らかいので、長くは使えないけれど。最近は、葉書や作品に押す方もいらっしゃいますね」。判子が完成する間、周辺を散策ができるのも龍野の楽しみ方。受講生の一人が早速オーダーしていました。

 

 

ここでしか買えない、手作りの糀店

 

続いて訪れたのは、中心通りに軒を連ねる「井戸糀店」。大正15年に創業し、もともと醤油づくりに欠かせない糀の製造から始まったこのお店では、手作りの糀をはじめ、糀を使ったお味噌や甘酒などを販売しています。

 

長屋の奥にある工房では、4代目になる店主の井戸さんが、受講生に向けて糀や発酵について手描きで書いたお手製の紙を用いながら説明してくださいました。「糀は、身体の免疫力を高めてくれるんです。ぜひ、一日一杯の味噌汁から始めてください」。わかりやすく、ユーモアもある井戸さんのお話とその人柄に一同和まされ、さらには、麹を醗酵させるためのレンガ造りの麹室にも案内してくれました。受講生からは、「これまで酒蔵見学などにも色々行きましたけど、麹室に入れるなんて初めて。いやあ、これはとても貴重な体験です」と驚いた様子。井戸さんは、「お客様の顔が見える範囲で販売したいんです」と店頭での販売にこだわっており、そんなところも外国人に喜ばれそうだと、その後も井戸さんに質問をしていました。

 

 

薄口醤油発祥の町

 

龍野の町は、老舗の醤油店や商いのお店が点在し、和食やそうめん、お団子屋さんなどの食事処も充実していました。それぞれのグループが散策して色々な発見に出会いました。そして、昼食後、午後は「うすくち龍野醤油資料館」へ。

 

国登録文化財である建物の中で、館長の澤さんに龍野の薄口醤油の歴史や江戸時代からの醤油醸造道具、先人の知恵などを丁寧に案内していただきました。「播磨平野で育った大豆と小麦、赤穂の塩、当時は甘酒も少し入れた醤油が作られました。龍野の立地が大阪や京都への通り道だったことも、醤油文化が栄えた理由の一つでもあります」。この地域で育まれた恵の食材があり、人々に届けられる立地も相まって栄えた醤油文化。醤油を作るための大きな木樽や醤油を絞り出す絞り袋など、実際に使われた貴重な道具や資料を前に、受講生も学びが多かったようです。

 

 

その後、宿泊先であるホテル日航姫路へ移動し、今日の行程を振り返りました。グループごとに企画アイデアを出し合い、翌日再度龍野の街へ。

今回で全てのフィールドワーク終了。この後は、各自オリジナルツアーを提案し、選ばれた企画を基に、1月のモデルツアーが行われます。

受講生が各地を訪れた結果、どのようなツアープランやアイデアが生まれてくるのか楽しみです。